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第5回 『正しい口腔内清掃とその将来性とは』      岡井 悠将

皆さんは普段どのように歯磨きをされているでしょうか。磨き方だけでなく、いつ磨くか、何を使うか、一回当たりの時間など自分の中で当たり前になってしまった普段の生活習慣に関しては何かきっかけがないと改めて見直す機会とういうのは少ないのではないでしょうか。今回のコラムではそういったきっかけの一つとしてお役立ていただければと思います。歯磨きによる歯垢の除去を専門的にはプラークコントロールといいます。まずはこのプラークコントロールの向上につながるモチベーションを上げるために具体的な数値に注目してみたいと思います。口腔内には300種類を超える種類の細菌がおり、よく磨けている人でも1000億〜2000億、磨かない人になると1兆個の細菌が生息しています。また起床時には特に細菌数が増加しており、これが就寝前の30倍にもなっています。このことから特に大事な歯磨きは就寝前と起床後ということになります。では実際ブラッシングではどの程度のプラークを除去出てきているのでしょうか。これはどれだけ上手く磨いても6割程度と言われています。歯ブラシだけでは届かない場所がどうしても出てくるからです。これに歯間ブラシやフロスを使ってやっと8割に届きます。洗口液を使っている方も多くいらっしゃると思いますがプラークにはバイオフィルムという薬剤に対するバリアのようなものがありますので、前提として徹底的なブラッシングが必要になります。  次に医療費の面から見るとどうでしょうか。日本人の歯科への関わり方としては痛くなれば歯医者に行くという傾向が強い様に思えます。医療費全体で見ると生涯に2500万円ほどかかると言われていますがこの内歯科医療費は痛い時のみに治療するというのを繰り返した場合80歳までに大体430万円ほどかかると言われます。では定期的な健診と口腔ケアを行なっている場合の費用についてはどうかというと、実は行っていない場合に比べ48歳までは医療費は高くなってしまいます。しかし50歳を境に逆転し、その後金額の差は広がり65歳では平均よりも年間15万円安く、最終的には1600万円の差になるとのことです。これは生涯医療費の約半分が70歳以降にかかってくることによります。この時の全身状態にもよりますが摂食・嚥下がしっかりできることで栄養状態並びに免疫機能が良好に保てること、糖尿病、心疾患など歯科と関連の強い疾患の予防につながることが大きいと考えられます。  こうして考えると人生100年時代と言われる中で歯科の役割というものは単純な虫歯や歯周病の治療というだけでなく、医療費などの経済面でもますます重要なものになってきているように思います。今一度、ご自身のお口について考える機会を設けてみませんか?ぜひ、一度健診にいらしてください

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